問題講評【理科総合B】

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1.総評

【2014年度センター試験の特徴】 

・解答数は昨年と比べて2個減少し、27個となった。
・例年同様、思考・判断を問う問題と知識・理解を問う問題がバランスよく出題された。
・単位換算など、複数の要素がかかわる計算問題が出題された。

 例年同様、4大問構成であったが、解答数は2個減少し27個となった。昨年出題されなかった数値選択問題が1個出題された。また、6択の問題(6→3)、7択以上の問題(11→9)はそれぞれ減少し、5択の問題(11→14)が増加した。例年同様、特定の分野に偏ることなく出題され、思考・判断を問う問題と知識・理解を問う問題がバランスよく出題された。また、問題文から数値を読み取り、その意味を理解したうえで、さらに単位換算も含めて計算するなど、複数の要素がかかわる計算問題が出題された。難易は昨年並であった。

2.全体概況

【大問数・解答数】 大問構成は昨年と同じ4大問。解答数は昨年と比べて2個減少し27個。
【出題形式】 昨年出題されなかった数値選択問題が1問出題された。
【出題分野】 特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。
【問題量】 昨年並。
【難易】 昨年並。

3.大問構成

第1問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
自然の探究 25点 標準 A 土壌動物の調査
B 太陽光のエネルギーの測定と分析
第2問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
生命と地球の移り変わり 25点 やや難 A 地球表層のプレート運動
B 地球の生命と地球環境のかかわり
第3問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
多様な生物と自然のつり合い 25点 標準 地域の自然の特徴
第4問
出題分野・大問名 配点 難易 備考
(使用素材・テーマなど)
人間の活動と地球環境の変化 25点 標準 A 太陽エネルギーとエネルギー消費
B 日本の森林と人間のかかわり

4.大問別分析

第1問「自然の探究」

● Aでは、土壌動物の調査について、実験装置のしくみの理解や調査データの表の読み取りなどが総合的に問われた。

● 問1では、ツルグレン装置による土壌動物の採集について問われた。土壌動物に関する知識と、白熱電球を設置する意味の理解がポイントである。

● 問2では、土壌動物の種数と個体数に関する表の読み取りが出題された。選択肢の内容がデータから読み取れることとして適当かを判断する、典型的な問題である。

● 問3は、環境条件の違いと土壌動物の個体数の関係を調べることを目的とした土壌の採り方に関する問題であった。適切な調査方法を判断できるかがポイントであり、科学的な探究の技能が問われた。

● Bでは、太陽光のエネルギーの測定と分析について、考察力や計算力が問われた。

● 問4は、太陽光のエネルギーの測定におけるグラフの読み取り方法についての問題であった。問題文から実験条件を理解することや、適切なデータの処理方法について理解することなど、実験の技能が問われた。

● 問5は、太陽光のエネルギーについて、問題文から必要な数値を読み取って計算する問題であった。面積や時間、比熱、単位の換算など、複数の要素がかかわる計算が必要であり、難しい。

● 問6は、太陽定数を用いた計算に関する問題であった。演習などを通して知識を有している受験生なら即答できるが、そうでない受験生にとっては判断に迷いやすい問題であったと思われる。

第2問「生命と地球の移り変わり」

● Aでは、地球表層のプレート運動に関して、図を読み取って考察する力や知識が問われた。

● 問1は、海洋底の岩石の年代を表した図に関する問題であり、aでは中央海嶺の分布の読み取りが、bではプレートの拡大速度の読み取りが出題された。bでは、太平洋と大西洋の同緯度域について比較し、距離と岩石の年代からプレートの拡大速度を考察することが必要であった。

● 問2では、日本列島とその周辺でみられるプレート運動に関して、幅広い知識が問われた。

● 問3は地球内部の層構造に関する問題であり、プルームとのかかわりや、その解析方法も含めた幅広い知識が問われた。

● Bでは、地球の生命と地球環境のかかわりについて、知識を中心に総合的に問われた。

● 問4は、生命と地球の移り変わりに関する知識を問う問題であった。原始海洋やマグマオーシャンの形成といった原始地球の成長過程の理解や、水中での無脊椎動物の出現、維管束をもつことによる植物の陸上進出など、生物の変遷についての理解が必要である。

● 問5は、大気中の酸素および二酸化炭素の濃度の変化と、それに伴う生物の変遷に関する問題であった。aは縞状鉄鉱層の形成に関する知識がポイントであった。bでは、植物の陸上進出が二酸化炭素濃度に与える影響について、理解していることが必要である。

第3問「多様な生物と自然のつり合い」

● 主に生物分野から、地域の生態系とそこに生息する生物について、図の読み取りや知識が問われた。知識を問う問題と、考察力を問う問題がバランスよく出題されていた。

● 問1a、bは、河川や風化・侵食作用による地形の形成に関して、幅広い知識を問う問題であった。cでは、海水の富栄養化に関して、基本的な知識と理解が問われた。

● 問2は、里山での生物のかかわり合いに関する問題であった。食物連鎖に関する基本的な知識に加え、図を丁寧に読み取って問題文と照らし合わせる必要があった。

● 問3は、節足動物である昆虫について、図を読み取らせて体のつくりの進化の過程を考察させる問題であった。図を読み取ったうえで、体節に関する知識をもとに選択肢を判断する必要があった。題材としては目新しいものであったが、図に「体節」が示されていることもあり、選択肢の内容と図を丁寧に照らし合わせれば考えやすいといえる。

● 問4は、河口域のカニの分布に関する問題であった。図を正しく理解し、選択肢の文章と照らし合わせる力が問われた。

● 問5は軟体動物に関する問題であった。動物の分類や軟体動物の特徴について、基本的な知識が問われた。

第4問「人間の活動と地球環境の変化」

● Aでは、太陽エネルギーやエネルギー利用に関して、グラフを読み取る力や知識が問われた。

● 問1では、ソメイヨシノの開花日と気温の関係、緯度による日射量の変化に関して問われた。表を読み取ったうえで、文脈に当てはめて考える力が必要であった。

● 問2は、太陽エネルギーと人間の活動や環境とのかかわりに関する問題であった。太陽放射について、吸収率や、温室効果に与える影響と波長の関係など、やや細かい知識が問われた。

● 問3は、世界人口の推移、およびエネルギー消費量の変化とその予測に関する問題であった。グラフを読み取ったうえで、それぞれの選択肢の内容とグラフとを照らし合わせる必要があった。

● Bでは、日本の森林と人間のかかわりに関して、グラフを読み取る力や思考力などが問われた。

● 問4は、日本の森林面積と森林蓄積量の推移に関する問題であった。問題文の文脈を理解し、グラフから適当な数値を読み取って計算する力や、複数のグラフについて考察する力が求められた。

● 問5では、森林の土壌の流出に関して、結論の根拠となるデータの組合せが問われた。どのデータとどのデータを比較すれば結論が導き出せるかという、科学的な思考力を要する。

● 問6は、日本の森林と人間とのかかわりに関する問題であった。森林やその利用について、一般常識も含めた幅広い知識が必要であった。

5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2013 2012 2011 2010 2009
平均点 54.41 60.36 54.58 64.83 58.35

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