問題講評【数学II】
1.総評
- 【2014年度センター試験の特徴】
-
・大問構成、配点とも昨年から変更なし。
・問題量、計算量とも昨年並。
・丁寧な誘導に従って解き進めれば取り組める出題が多かった。問題構成は昨年から変化がなく、第1問から第4問まで全て必答問題であった。問題量、計算量も昨年並であった。第1問、第4問など、丁寧な誘導がある問題が多く、誘導に従って正確に解き進めていく力が求められた。全体の難易は昨年よりやや易化した。
2.全体概況
【大問数・解答数】 | 昨年同様、大問数は4ですべて必答。第1問、第2問は数学II・Bとの共通問題。 |
---|---|
【出題形式】 | 昨年から変更なし。 |
【出題分野】 | 数学II全分野から幅広く出題。 |
【問題量】 | 問題量・計算量とも昨年並。 |
【難易】 | 昨年よりやや易化。 |
3.大問構成
第1問 | |||
---|---|---|---|
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
図形と方程式、対数関数 | 30点 | 標準 | 原点を通る直線とx軸に接する円の方程式 対数不等式を満たす自然数の組 |
第2問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
微分法・積分法 | 30点 | 標準 | 3次関数が極値を持つ条件、放物線と接線で囲まれた図形の面積 |
第3問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
三角関数 | 20点 | 標準 | 三角不等式、三角関数の最大値と最小値 |
第4問 | |||
出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考 (使用素材・テーマなど) |
高次方程式 | 20点 | 標準 | 3次方程式の解のとり得る値の範囲 |
4.大問別分析
第1問〔1〕「図形と方程式」
● 原点を通る直線とx軸に接する円に関する問題。
● 全体として図形と方程式の基礎知識を中心に問われているが、登場する文字が多いので、図をきちんとかき、状況を把握しながら解き進める必要があった。
● 後半の2直線に接する円の方程式を求める部分では、円Cの半径rはqに等しいという誘導に従えば、(1)で求めた式から円の中心の座標の関係式を導くことができる。与えられたpとqの条件を用いて、(1)で求めた式から絶対値を正しく外すことができるかどうかがポイントであった。
● 問題量・計算量は昨年並であった。
第1問〔2〕「対数関数」
● 対数不等式を満たす自然数(m、n)の組の個数を求める問題。
● 与えられた不等式は文字が多いが、最初にmとnに具体的な数を代入するので、対数関数が苦手な受験生でも取り組みやすかったであろう。
● 前半で条件を満たすmを決定する部分は、丁寧な誘導に従って解けばよい。
● 後半の、条件を満たす自然数(m、n)の組の個数を求めるという内容はヒントがなければ難しいが、誘導に従って対数不等式を解いていくことで、mが1のときのnのとり得る値の範囲を求めることができる。
● 問題量・計算量はやや少なく、問題文の誘導にうまく従えたかどうかがポイントであった。
第2問「微分法・積分法」
● (1)は文字を含む3次関数が極値をもつ条件を考える問題。f(x)が極値をもつpの条件を問う部分は目新しい。
● (2)の前半は与えられた条件から極値をとるxの値を求める問題。与えられた条件から、pの2次方程式を導出しなければならない。さらにこの方程式を解くとpは0または3となるが、pが0のときはf(x)が極値を持たないことに気づけるかどうかがポイントであった。(1)で極値をもつ条件を考えているので、糸口はつかみやすかったであろう。
● (2)の後半は3次曲線の極小となる点を通る接線を求め、放物線と接線で囲まれる図形のうち、x≧0の部分の面積を求める問題。接線の傾きが0でないという条件から、極小となる点を絞り込めるかどうかと、「極小となる点を通る接線」と「極小となる点での接線」を間違えずに考えられるかどうかがポイントであった。
● 積分計算が1箇所しかなく、係数に文字も含まれなかったので、計算量は昨年と同様、やや少なかった。
第3問「三角関数」
● 三角不等式を解き、三角関数の最大値・最小値を考えることで、最終的にグラフの概形を考える問題。
● (1)は公式を用いて三角関数を変形し、不等式の解を求める問題。
● (2)は(1)で変形したsinxの2次式を用いて、与えられたxの範囲での最大値と最小値を考える問題。最小値を与えるxの値をαを用いて表す部分で、単位円を用いるなどして2つの解がどのような位置にあるかを考えることができるかどうかがポイント。
● (3)は、(1)で求めた関数が正になる範囲と(2)で求めた関数の最大値・最小値を元に、関数のグラフの概形を選ぶ問題。三角関数の分野において選択肢からグラフの概形を推測する問題は目新しく、戸惑った受験生も多かったかもしれない。
● 問題量・計算量は昨年よりやや少なく、標準的な量であった。
第4問「高次方程式」
● 3次方程式の解がとり得る値の範囲を考える問題。
● 前半は与えられた条件から3次式の因数分解をおこなうことで1つの解を決定し、文字係数cのとり得る値の範囲を求める問題。nが3のときにcが最小値を取ることに気づけるかどうかがポイントであった。
● 後半は2次方程式の2解について、解と係数の関係を用いて実数解αのとり得る値の範囲を求める問題。解と係数の関係や、2次不等式を解くことなど、基本事項をしっかりとおさえているかどうかが問われた。
● 問題量・計算量は昨年並であった。
● 原点を通る直線とx軸に接する円に関する問題。
● 全体として図形と方程式の基礎知識を中心に問われているが、登場する文字が多いので、図をきちんとかき、状況を把握しながら解き進める必要があった。
● 後半の2直線に接する円の方程式を求める部分では、円Cの半径rはqに等しいという誘導に従えば、(1)で求めた式から円の中心の座標の関係式を導くことができる。与えられたpとqの条件を用いて、(1)で求めた式から絶対値を正しく外すことができるかどうかがポイントであった。
● 問題量・計算量は昨年並であった。
● 対数不等式を満たす自然数(m、n)の組の個数を求める問題。
● 与えられた不等式は文字が多いが、最初にmとnに具体的な数を代入するので、対数関数が苦手な受験生でも取り組みやすかったであろう。
● 前半で条件を満たすmを決定する部分は、丁寧な誘導に従って解けばよい。
● 後半の、条件を満たす自然数(m、n)の組の個数を求めるという内容はヒントがなければ難しいが、誘導に従って対数不等式を解いていくことで、mが1のときのnのとり得る値の範囲を求めることができる。
● 問題量・計算量はやや少なく、問題文の誘導にうまく従えたかどうかがポイントであった。
第2問「微分法・積分法」
● (1)は文字を含む3次関数が極値をもつ条件を考える問題。f(x)が極値をもつpの条件を問う部分は目新しい。
● (2)の前半は与えられた条件から極値をとるxの値を求める問題。与えられた条件から、pの2次方程式を導出しなければならない。さらにこの方程式を解くとpは0または3となるが、pが0のときはf(x)が極値を持たないことに気づけるかどうかがポイントであった。(1)で極値をもつ条件を考えているので、糸口はつかみやすかったであろう。
● (2)の後半は3次曲線の極小となる点を通る接線を求め、放物線と接線で囲まれる図形のうち、x≧0の部分の面積を求める問題。接線の傾きが0でないという条件から、極小となる点を絞り込めるかどうかと、「極小となる点を通る接線」と「極小となる点での接線」を間違えずに考えられるかどうかがポイントであった。
● 積分計算が1箇所しかなく、係数に文字も含まれなかったので、計算量は昨年と同様、やや少なかった。
第3問「三角関数」
● 三角不等式を解き、三角関数の最大値・最小値を考えることで、最終的にグラフの概形を考える問題。
● (1)は公式を用いて三角関数を変形し、不等式の解を求める問題。
● (2)は(1)で変形したsinxの2次式を用いて、与えられたxの範囲での最大値と最小値を考える問題。最小値を与えるxの値をαを用いて表す部分で、単位円を用いるなどして2つの解がどのような位置にあるかを考えることができるかどうかがポイント。
● (3)は、(1)で求めた関数が正になる範囲と(2)で求めた関数の最大値・最小値を元に、関数のグラフの概形を選ぶ問題。三角関数の分野において選択肢からグラフの概形を推測する問題は目新しく、戸惑った受験生も多かったかもしれない。
● 問題量・計算量は昨年よりやや少なく、標準的な量であった。
第4問「高次方程式」
● 3次方程式の解がとり得る値の範囲を考える問題。
● 前半は与えられた条件から3次式の因数分解をおこなうことで1つの解を決定し、文字係数cのとり得る値の範囲を求める問題。nが3のときにcが最小値を取ることに気づけるかどうかがポイントであった。
● 後半は2次方程式の2解について、解と係数の関係を用いて実数解αのとり得る値の範囲を求める問題。解と係数の関係や、2次不等式を解くことなど、基本事項をしっかりとおさえているかどうかが問われた。
● 問題量・計算量は昨年並であった。
● (1)は文字を含む3次関数が極値をもつ条件を考える問題。f(x)が極値をもつpの条件を問う部分は目新しい。
● (2)の前半は与えられた条件から極値をとるxの値を求める問題。与えられた条件から、pの2次方程式を導出しなければならない。さらにこの方程式を解くとpは0または3となるが、pが0のときはf(x)が極値を持たないことに気づけるかどうかがポイントであった。(1)で極値をもつ条件を考えているので、糸口はつかみやすかったであろう。
● (2)の後半は3次曲線の極小となる点を通る接線を求め、放物線と接線で囲まれる図形のうち、x≧0の部分の面積を求める問題。接線の傾きが0でないという条件から、極小となる点を絞り込めるかどうかと、「極小となる点を通る接線」と「極小となる点での接線」を間違えずに考えられるかどうかがポイントであった。
● 積分計算が1箇所しかなく、係数に文字も含まれなかったので、計算量は昨年と同様、やや少なかった。
● 三角不等式を解き、三角関数の最大値・最小値を考えることで、最終的にグラフの概形を考える問題。
● (1)は公式を用いて三角関数を変形し、不等式の解を求める問題。
● (2)は(1)で変形したsinxの2次式を用いて、与えられたxの範囲での最大値と最小値を考える問題。最小値を与えるxの値をαを用いて表す部分で、単位円を用いるなどして2つの解がどのような位置にあるかを考えることができるかどうかがポイント。
● (3)は、(1)で求めた関数が正になる範囲と(2)で求めた関数の最大値・最小値を元に、関数のグラフの概形を選ぶ問題。三角関数の分野において選択肢からグラフの概形を推測する問題は目新しく、戸惑った受験生も多かったかもしれない。
● 問題量・計算量は昨年よりやや少なく、標準的な量であった。
第4問「高次方程式」
● 3次方程式の解がとり得る値の範囲を考える問題。
● 前半は与えられた条件から3次式の因数分解をおこなうことで1つの解を決定し、文字係数cのとり得る値の範囲を求める問題。nが3のときにcが最小値を取ることに気づけるかどうかがポイントであった。
● 後半は2次方程式の2解について、解と係数の関係を用いて実数解αのとり得る値の範囲を求める問題。解と係数の関係や、2次不等式を解くことなど、基本事項をしっかりとおさえているかどうかが問われた。
● 問題量・計算量は昨年並であった。
● 3次方程式の解がとり得る値の範囲を考える問題。
● 前半は与えられた条件から3次式の因数分解をおこなうことで1つの解を決定し、文字係数cのとり得る値の範囲を求める問題。nが3のときにcが最小値を取ることに気づけるかどうかがポイントであった。
● 後半は2次方程式の2解について、解と係数の関係を用いて実数解αのとり得る値の範囲を求める問題。解と係数の関係や、2次不等式を解くことなど、基本事項をしっかりとおさえているかどうかが問われた。
● 問題量・計算量は昨年並であった。
5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)
年度 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 2009 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 26.19 | 26.03 | 31.73 | 35.94 | 28.39 |
6.2015年度センター試験攻略のポイント
● 2015年度は新教育課程からの出題となる。数学IIは数学I・Aから移行される項目が複数あるものの出題範囲の大きな変更はない。また、数学I・Aの内容が出題の基礎となることに変わりはないので,数学I、数学A、数学IIのそれぞれの分野の基礎基本をしっかりと定着させることが重要である。
● 2014年度は誘導に従って計算する力と誘導の意図を正確に読み取る力が求められた。見慣れない問題であっても、与えられた条件や前の設問をうまく使うことを意識して問題に取り組みたい。
● 2014年度は問題量・計算量は標準的であったが、解答時間に対して量が多くなる年もある。日ごろの演習で計算力を鍛えることを忘れないでおきたい。また、計算を工夫して計算量を減らす方法も身につけて、効率よく解けるようにしておきたい。
● 毎年図を用いて考える問題が出題されるので、日ごろから図をかいて問題を解く習慣をつけておくことが大切である。
● 一部かなり難しい問題が出題される年もあるので、基本事項をおさえた上でレベルの高い問題にも取り組んでおきたい。
データネット実行委員会 駿台予備学校/ベネッセコーポレーション