・力学は計算問題がなくなり、昨年に比べて易しくなった。
・第5問は小問形式で出題された。また、昨年までみられた会話文形式の出題はなかった。
・受験生の日常生活において身近な題材を用いて、科学的思考力を問うという出題が目立った。
・理科総合Aにおける選択学習項目である「酸化・還元」が、昨年に引き続き出題された。
例年と同様に、5大問構成で各大問20点であり、解答数は昨年同様26個であった。探究・考察させる問題設定にも、受験生にとって身近な題材を用いる工夫がみられた。全体的には、知識問題と科学的思考力を必要とする問題のバランスがとれた出題であった。難易は昨年より易化した。 |
【大問数・解答数】 | 大問構成は昨年と同じ5大問。解答数も昨年と同じ26個。 |
【出題形式】 | 昨年に比べて、組合せ選択の問題と誤文選択の問題が各1個増加した。 |
【出題分野】 | 特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。 |
【問題量】 | 昨年に比べて、5択の問題が8個減少して、4択の問題が4個増加した。また、6択以上の問題も4個増加した。 |
【難易】 | 昨年より易化。 |
大問 | 出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考(使用素材・テーマなど) |
第1問 |
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第2問 |
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第3問 |
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第4問 |
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第5問 |
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第1問「エネルギー資源、白熱電球の消費電力」
エネルギー資源の利用と電気エネルギーの問題を結びつけ、語句選択、文章選択、数値計算、グラフの読み取りなど、バランスよく出題された。 | |
問1は、蓄積型のエネルギー資源と非蓄積型のエネルギー資源の特性や有用性に関する問題であった。 | |
問2は、省エネ(節電)に関して電球型蛍光灯を題材にした計算問題であった。 | |
問3は、太陽エネルギーの利用に関する基本的な問題であった。 | |
問4aは、比較的簡単にグラフを読み取って解答できる問題であった。 | |
問4bは、物理Iで扱われるような回路の問題で、直列に接続したときの状況を考えなければならず、やや難しかった。 |
第2問「磁力を含む力のつり合いと物体の運動」
磁力を含む力学に関して出題された。力のつり合い、作用・反作用、力学的エネルギーと摩擦力による運動など、いずれも数値計算を用いずに解答する問題であった。磁力がイメージできるかどうかがポイントであった。力学の問題としては例年に比べて易しかった。 | |
問1は、磁力を含んだ力のつり合いに関する問題で、台はかりからの垂直抗力があることを理解しておく必要があった。 | |
問2は、磁力が、距離が近くなると大きくなるという経験的な知識があれば答えられる問題であった。 | |
問3は、作用・反作用の法則が理解できていれば答えられる問題であった。 | |
問4aは、慣性の法則による等速度運動と摩擦力による負の等加速度運動の組合せをグラフから選ぶ問題であった。 | |
問4bは、摩擦力による仕事によって力学的エネルギーが減少する運動について、定性的に問う問題であった。 |
第3問「元素の周期表と炭素に関する問題」
原子の構成と周期表の性質、および資源としてのメタンとその製造、炭素年代測定と半減期について問われた。5問のうち4問が組合せ形式であった。 | |
問1は、質量数と原子番号を元素記号を用いて表す方法と、陽子の数と中性子の数との関係を理解しておく必要があった。 | |
問2は、周期表に関する問題で、周期表そのものについて基本的なことをきちんと理解しておく必要があった。 | |
問3は、資源としてのメタンハイドレートの存在状態などが問われた。メタンハイドレートの存在場所は前後の文から判断できたと推測する。 | |
問4は、バイオマスからメタンを得る反応式について問われた。左辺と右辺の原子数を比較しながら係数を求めていくので、やや時間がかかったと推測する。 | |
問5は、放射性炭素の半減期と、一定時間経過後の存在量との関係が問われた。 |
第4問「ペルティエ素子とエネルギー変換」
ペルティエ素子を題材に、電気エネルギーと熱エネルギーの関係について出題された。あわせて金属の性質についても問われた。ペルティエ素子に関する知識は必要ないが、情報量が多く、文章とグラフの読解力が合わせて求められた。 | |
問1 aは、ペルティエ素子を使った実験について、説明文とグラフを読み取る問題であった。 | |
問1 bは、消費電力と水の温度上昇について問われており、計算はやや面倒であった。 | |
問2aは、「廃熱を利用した発電」をテーマに、二つのグラフからペルティエ素子の両平面の温度差と生じる電圧の関係を読み取る問題であった。 | |
問2bは、熱エネルギーを利用する発電の例についての基本的な問題であった。 | |
問3は、身近に使われている金属についての基本的な性質を問う問題であった。 |
第5問「物質の構成と変化」
物質の構成、状態と変化全般に関する基本的な内容について、小問形式で総合的に問われた。 | |
問1は、イオン結合に関する基本的な問題であった。 | |
問2は、混合水溶液の濃度を求める問題であった。 | |
問3は、電気分解に関する基本的な問題であった。電極に銅を用いた場合の変化についての理解が必要な部分もあり、判断に迷った受験生もいたであろう。 | |
問4は、純物質と混合物の区別についての基本的な問題であった。 | |
問5は、酸化還元反応が関係する身近な現象についての基本的な問題であった。酸化還元反応は選択学習項目であるが、2008年度、2009年度ともに出題されており、中学での学習内容も含めてしっかり確認しておきたい。 | |
問6は、水の状態変化が関係する身近な現象(凝集)についての基本的な問題であった。 |
年度 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 |
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身近な現象や、身の回りに用いられている物質が題材になることが多い。このことへの対策として、指導要領に挙げられた「身近な科学技術の課題例」からテーマを選ばせ、課題研究させることが有効であろう。また、日常生活でみられる事象を教材として取り上げることも有効である。 | |
グラフ・表など読み取るべき情報の量が増加傾向にある。特にグラフを扱った問題については、与えられたグラフに補助線などを書き込むことが、解答に必要な情報を読み取るために効果的である。 | |
問題に関する知識がなくても、設問文をよく読んで問われていることが理解できれば、解ける問題が多い。こういった思考力を問う問題については、参考書や模試の問題でしっかりと演習をしておくことが有効である。 | |
エネルギー・資源に関する問題と環境問題については、教科書によってその内容に差がないので、しっかりと教科書を読むことが有効である。教科書のなかの重要語句については、覚えるだけではなく、その内容や社会とのかかわりを説明できるようにしておきたい。 | |
基本的な知識問題だけで解ける問題は、確実に得点する必要がある。エネルギーと物質の基礎については、しっかりと学習して身につけておきたい。 |