問題講評
データネット2010
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数学II

1.総評

【2010年度センター試験の特徴】 

・大問構成、配点ともに昨年と変更なし。
・問題量は昨年と同様だが、計算量は昨年より減少した。
・昨年よりも易化した。


 例年計算力、思考力を問う問題が並んでいたが、2010年度はオーソドックスな問題がほとんどであった。また、第1問〔2〕、第3問、第4問では、誘導に従って解き進めていけば比較的スムーズに解ける設問が多かった。昨年に比べて、計算量が少なくなり、易化した。
2.全体概況

【大問数・解答数】 昨年同様、大問数4ですべて必答。第1問、第2問は数学II・Bとの共通問題。
【出題形式】 昨年と変更なし。
【出題分野】 数学II全分野からの幅広い出題であった。
【問題量】 問題量は昨年と同様だが、計算量は昨年より減少した。
【難易】 昨年より易化。
3.大問構成

大問 出題分野・大問名 配点 難易 備考(使用素材・テーマなど)
第1問
対数関数、三角関数、高次方程式
30点
標準
〔1〕対数関数を含む連立方程式
〔2〕三角関数を含む方程式
第2問
微分法・積分法
30点
標準
3次関数のグラフの接線の本数と、曲線と直線で囲まれた部分の面積
第3問
図形と方程式
20点
標準
円と直線が接するときの円の方程式
第4問
複素数と方程式
20点
標準
3次方程式の解
4.大問別分析

第1問〔1〕「対数関数」

  • 対数関数を含む連立方程式を解く問題。
  • 前半は対数の性質を利用して2つの対数の和と積を求めていく。後半は解と係数の関係を用いて2次方程式に帰着して解いていくとよい。
  • 対数の基本的な性質と2次方程式の基本事項をおさえていれば考えやすく、比較的解きやすい問題であった。
  • 問題量・計算量は昨年並であった。

    第1問〔2〕「三角関数、高次方程式」

  • sin4θ=cosθを満たすθとsinθの値を求める問題。
  • 前半は(π/2)-xの三角関数の性質を利用して、三角関数の種類をsinに統一しθの取りうる値を求める。
  • 後半は2倍角の公式を2回用いて、3次方程式を導いて解いていけばよい。
  • 三角関数の基本的な公式と高次方程式の問題の解き方が身についているかが問われた。
  • 問われている内容は誘導に従えばそれほど難しくはないが、問われ方が目新しいので戸惑った受験生も多かったかもしれない。
  • 問題量・計算量ともに昨年よりやや多かった。

    第2問「微分法・積分法」

  • (1)は定点から3次関数のグラフに引いた接線の本数を調べる問題。(2)は2つの3次関数のグラフと2つの直線で囲まれた部分の面積を求める問題である。
  • (1)は、接線の本数をy=p(t)とy=kのグラフの交点の個数に読みかえることがポイントである。
  • (2)は2つの曲線の上下関係を把握することが問題を解くカギとなるが、これが把握できたかどうかで差がついたと思われる。先に求めた2つの曲線の交点のx座標をうまく利用するとよい。
  • 接線の方程式、極大・極小、面積など微分法・積分法の基本事項がしっかり理解できているかが問われた。
  • 問題量・計算量ともに昨年より少なかった。特に、積分計算のところで計算量が減少した。
  • 3次関数のグラフで囲まれた部分の面積を求める問題は、2007年度以来の出題であった。

    第3問「図形と方程式」

  • 円と直線が接するときの円の方程式を求める問題である。
  • 円の中心Qが線分ABの垂直2等分線上にあることに気づくのが最初のポイントで、ここでまず差がついたと思われる。
  • 後半は直線PQと直線lが垂直に交わることから、2直線の傾きの積が-1となることを用いて解いていく。
  • 図形と方程式の基本的な公式を理解した上で誘導に従って解いていけば、取り組みやすかっただろう。
  • 問題量は昨年並であるが、計算量は昨年よりも減少した。

    第4問「複素数と方程式」

  • (1)は3次式を因数分解する問題。(2)は虚数αがP(x)=0、Q(x)=0の共通解であるとき複素数の性質を用いてa、bを決定し、2つの虚数解の逆数を2解にもつ2次方程式を求める問題である。
  • (1)は誘導に従って因数分解をすればよい。(2)は2つの式の差をとってαの2乗を消して求めていくところで、差がつくと思われる。また、最後の2次方程式を求めるところでは、解と係数の関係を利用して解くとよい。
  • 3次式の因数分解、複素数の性質、解と係数の関係などが問われており、基本的な知識を使いこなす力が求められた。
  • 問題量・計算量は昨年並であった。
  • 解の逆数の問題は昨年に続いての出題であった。
    5.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

    年度 2009 2008 2007 2006 2005
    平均点
    28.39
    30.25
    30.73
    35.67
    39.52
    6.2011年度センター試験攻略のポイント

  • 数学II全分野から幅広く出題されているので、まずは教科書等で各分野の基本事項をおさえておくこと。
  • 2010年度は計算量が例年よりも少なかったが、2009年度以前は解答時間に対して問題量・計算量が多い出題が続いていたので、日ごろの演習で計算力を鍛えることを忘れないでおきたい。時間を測って問題を解く練習も効果的である。また、計算を工夫して計算量を減らすなどの解法も身につけて、効率よく解けるようにしておきたい。
  • 毎年図を用いて考える問題が出題されるので、日ごろから図をかいて問題を解く習慣をつけておくことが大切である。
  • 2010年度は誘導に従って解く問題が特に多かった。与えられた条件や前設問をうまく使うことを意識して問題に取り組みたい。
  • 一部かなり難しい問題が出題される年もあるので、基本事項をおさえた上でレベルの高い問題にも取り組んでおきたい。