・大問数・配点ともに昨年と変更なし。
・計算量は昨年同様少ないが、思考力を要する問題が多かった。
・第3問が幾何色の強い問題であった。
・難易は昨年より難化。
大問数や配点、分野構成においては、昨年と大きな変化は見られなかった。第2問のような典型的な問題が出題された一方で、第3問では幾何の性質を多く取り扱うような問題もあったため、分野に偏らない日ごろからの学習の成果が試された。計算量は、昨年と同様で少ないが、各分野の問題で思考力を問うような問題があり、昨年よりも難化した。 |
【大問数・解答数】 | 昨年同様、大問数4ですべて必答。第1問〔1〕と第2問は数学Iとの共通問題。 |
【出題形式】 | 昨年と変更なし。 |
【出題分野】 | 全分野から幅広く出題。 |
【問題量】 | 昨年並。 |
【難易】 | 昨年より難化。 |
大問 | 出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考(使用素材・テーマなど) |
第1問 |
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第2問 |
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第3問 |
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第4問 |
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第1問〔1〕「方程式と不等式」
〔1〕は無理数の分母の有理化と2次方程式の問題で、最後に数の大小比較を行う。 | |
最後の無理数と2次方程式の解の大小を比較する設問では、与えられた選択肢の中から、正答の候補を素早く絞りこまなければならない。そのためには、無理数の評価がポイントとなる。普段の学習から、無理数がどれくらいの値であるかの評価を行っておきたい。 |
第1問〔2〕「集合と論理」
自然数を素材とした必要十分条件と、集合の包含関係を考える問題。 | |
「否定」や「または」を理解し、それぞれの条件の関係を正確に把握する必要があるが、条件を満たす自然数を具体的に列挙して考えると取り組みやすい。 | |
最後の設問は集合の包含関係を正しく表したベン図を選択する問題であった。この形式での出題は目新しい。 |
第2問「2次関数」
放物線の頂点と軸、x軸との交点、平行移動と最小値に関する問題。 | |
最大・最小を問う設問は1つのみで場合分けもなかった。基本的事項が重視された問題であり、計算量も少なく全体的に取り組みやすかった。 | |
x軸の交点を求める部分など多少計算が煩雑な部分はあるが、落ち着いて取り組めば難しくはなかったであろう。 | |
最後の平行移動を問う設問は誘導がなく問い方が見慣れないものであったため、解答の方針を立てられるかどうかがポイントであった。 |
第3問「図形と計量、平面図形」
直角三角形とその内接円に関する三角比と平面図形の融合問題。三平方の定理や、平行線の性質など中学の幾何の知識も多く問われた。 | |
最初の設問から三角比の定理・公式ではなく、内接円の性質を考えさせる問題であったため,幾何の問題が苦手な受験生にとっては厳しい問題であった。また、余弦定理や正弦定理を用いる問題も例年と違う与えられ方だったのでとまどった受験生も多かったであろう。 | |
四角形BPORが正方形であることが後半の設問にも影響してくるので注意が必要であった。 | |
出てくる点の数がかなり多いので図が正確にかけるかどうかがポイント。解答に迷った場合には位置関係を整理して図をかき直すことも必要。 | |
正接の値から3点が一直線上にあることを考えさせる問題は目新しかった。 |
第4問「場合の数、確率」
袋の中から5個の玉を取り出し、ある規則によって得点を定める場合の数と確率の問題。 | |
玉が11個あり、色が3種類。数字が1〜5までと複数の要因が関係するなかでルールが設定されているため、まずは問題の状況を正確に把握することが大切になる。 | |
誘導に従って適する場合を数えればよいが、容易ではない。色か数字のどちらかに着目し、場合分けを行い、もれなく重複なく計算することが大切。普段の学習から効率の良い場合分けを意識しながら学習していたかどうかで差がついたと思われる。 |
年度 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 |
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各分野の基本問題を中心とした出題となっているので、教科書レベルの基本事項をもれなく理解し、典型的な問題を中心に演習を積むことが重要である。 | |
受験生の苦手とする論理と集合の問題では、用語を確実に理解していないと得点できないため、普段から十分な学習を積んでおきたい。また、ベン図などを用いて集合の包含関係を考えることも大切である。 | |
図形問題では、図形と計量と平面図形の融合問題が出題される。数学Iの内容、数学Aの内容と考えずに、まず図をかいて考えるなど、図形問題を総合的にとらえられる練習をしておかないと、今年のような図形の性質を多く取り扱うような問題に対応することは難しくなる。また、高校の教科書には載っていない中学の基本的な図形の性質も意識しながら取り組むことも必要である。 | |
場合の数、確率の問題では、数え上げる問題がよく出題されている。PやCでの計算を正確に行うことも大切だが、樹形図などを利用してもれなく重複なく考えることも重要である。また、題意が複雑な問題が例年出題される。今年のように規則を決める要素が複数存在するような問題にも対応できるように、効率よく数え上げるための場合分けを日ごろから意識して学習に取り組むことが大切になってくる。 |