問題講評要約
データネット2010
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科目 分析内容
国語
― 新たな形式の出題が見られ、応用力が勝負を分ける。全体としてやや難化 ―
大問構成・配点・設問数・解答数は昨年と同様。昨年と比べて問題文の分量は大幅に減少したものの、古文を中心に文章の難度は高く、全体としてやや難化した。設問構成はおおむねオーソドックスであったが、現代文・評論における記号の表現効果と文章の構成を問うたものや、漢文における表形式で文中の比喩表現の対応関係を問うたもの、設問で漢詩を示し本文の主旨を問うたものなど、新形式の出題がいくつか見られた。目新しい形式の出題にも対応できる応用力が勝負のカギであった。
数学I・A
― 形式的な変化はないが、思考力を要する問題が多く時間がかかる。昨年より難化 ―
大問数や配点、分野構成においては、昨年と大きな変化は見られなかった。第2問のような典型的な問題が出題された一方で、第3問では幾何の性質を多く取り扱うような問題もあったため、分野に偏らない日ごろからの学習の成果が試された。計算量としては、昨年と同様で少ないが、各分野の問題で思考力を問うような問題があり、昨年よりも難化した。
数学I
― 出題形式・問題量ともに昨年と大きな変化なし。思考力が求められ、昨年より難化 ―
大問数や配点、分野構成は、昨年と大きな変化はみられなかった。第1問では、昨年出題されなかった絶対値を含む不等式が出題された。第3問では、三角形の形状がつかみにくい問題や立体の問題が出題されたため、正しく図形を把握することが重要であった。また、第1問と第4問では、整数について問う目新しい問題が出題され、昨年より難化した。
数学II・B
― 出題形式は昨年と変化なし。問題量・計算量ともに減少し、昨年より易化 ―
大問構成、配点ともに昨年と変更なし。問題量・計算量が昨年より減少し、第1問〔2〕、第3問、第4問のように誘導が強い設問が多かったため、素直に解き進めていくことができ、昨年より易化した。第3問の群数列はセンターでは目新しい出題であった。
数学II
― 誘導形式の問題が昨年よりも多かった。計算量は減少し、昨年より易化 ―
大問構成、配点ともに昨年と変更なし。問題量は昨年と同様だが、計算量は昨年より減少した。例年思考力を問う問題が並んでいたが、オーソドックスな問題がほとんどであった。また、第1問〔2〕、第3問、第4問では、誘導に従って解き進めていけば比較的スムーズに解ける設問が多かった。難易は昨年より易化した。
英語
(筆記)
― 第5問で新傾向の出題。素材の分量が大幅に減少したが、難易はほぼ昨年並 ―
第5問で新傾向の問題が出題され、第1問の強調の意図、一文中の音の強弱を問う問題が姿を消した。その他の大問は、2009年度の形式がほぼ踏襲された。ただし、ここ数年増加していた素材文の語数が第5問を中心に大幅に減少し、配点も大きく変更された。第5問や第6問は素材がなじみにくく、取り組みにくい設問があり、難易はほぼ昨年並であった。
英語
(リスニング)
― ICプレーヤーが新機種に。大問構成・出題形式はほぼ昨年通り。昨年よりやや易化 ―
大問数・解答数・配点は昨年から変更なかった。読まれる英文の総語数は1078語で、分量としては昨年からわずかに減少した。読み上げられる速さは、昨年よりやや遅くなった。難易に関しては、第3問や第4問で、表現の聴き取りに注意を要する設問が散見されたものの、全体的には取り組みやすくなり、昨年よりやや易化した。
世界史B
― 地理的認識と時期判断への対策がカギとなった ―
大問構成、解答数、設問の出題形式に大きな変化はなかった。時代は、近世・近代の割合が増加し、昨年多かった古代・中世は減少して例年並となった。また今年も東南アジア、朝鮮、アフリカなどの周辺地域を含めて出題され、地域網羅性は高かった。地図を使って地理的な認識を問う問題が複数見られたほか、時期判断を含む問題が今年も多く、差がつくポイントになったと思われる。難易は昨年並であった。
日本史B
― 政治史を中心に出題され、近現代史も比較的取り組みやすかったため、昨年よりやや易化 ―
大問数6と解答数36個は、昨年と変更なし。6択の年代整序問題が昨年の4問から増加して7問出題されるなど、事項の時系列を判断する問題が増加したことと、図版・史料・統計資料などの資料問題の分量が多かったことが特徴であった。しかし、政治史を中心に基本事項の内容を問うものが中心であったため、昨年よりやや易化した。なお、日本史Aとの共通問題は昨年と同じで2大問(35点分)であった。
地理B
― 地図や資料の読解力を重視した出題で、地域としては日本の扱いが増加。難易は昨年並 ―
大問数は6、解答数は昨年より1個減少して36となった。第2問が1設問を除き地理Aとの共通問題であった。内容面では、昨年と同様に資料が多く利用され、地理的技能が求められた。また、日本に関連する問題が増加し、幅広い分野からの出題がみられた。正答の判断においては全体的に標準的な内容が扱われ、難易は昨年並であった。
現代
社会
― 直面する諸課題を広範囲に出題。現代の社会への興味・関心が必要。難易は昨年並 ―
大問数6、解答数36個は昨年から変更なし。国際分野からの出題が増加した。政治・経済分野では、細かい知識まで要求する出題や、時事的な出題も散見された。統計資料の問題では論理的思考力が求められ、また、リード文と設問の関連を強く意識した形式の設問も出題され、読解力も求められた。難易は昨年並。
倫理
― 統計資料の出題が2問に。思考力を問うなど時間のかかる問題が増加。昨年よりやや難化 ―
大問構成や出題分野、解答数などの出題形式は昨年と同様。基本事項を中心に思想の理解や思考力を求めるものが多く、日ごろの学習成果が表れる出題であった。現代の諸課題は、例年出題されていた時事的な知識問題ではなく、倫理的な視点からの出題が目立った。また、統計資料の読み取り問題が2問、文章資料の読み取り問題が5問出題されており、リード文の趣旨を判別する問題などとあわせて昨年同様、読解力が求められた。難易は昨年よりやや難化。
政治・経済
― 需給曲線が今年も出題。幅広い分野にわたって基礎知識と思考力が問われた ―
大問数5、解答数38は昨年から変更なし。多角的・総合的視点のリード文という傾向は、昨年から変更がなかった。大問構成は、政治分野と経済分野の融合問題が1大問、国際政治分野が1大問、政治分野が1大問、経済分野が2大問出題された。基礎的かつ重要な事項が知識として定着しているかどうかを問う出題を中心に、資料読解の思考力など応用力も求められた。きちんと学習を積み上げてきた受験生にとっては高得点が期待できる出題であるが、易しかった昨年に比べると、今年は難化した。
物理I
― 全分野から幅広く出題。発展的な項目についての設問もあった。難易は昨年より難化 ―
昨年に比べて、全体的な傾向に大きな変更はなく、物理Iの全分野から幅広く出題された。2009年度には5個出題された語句・文章選択の問題が今年は出題されなかった。題材は典型的なものが多かったが、公式を用いるだけでは正答できない問題が多く、解答に時間を要する。また、電池の内部抵抗が現行の教育課程ではじめて扱われるなど、発展的な項目についての出題があった。難易は、昨年より難化した。
化学I
― 構造決定問題とグラフ選択問題が複数出題された。難易は昨年より難化 ―
大問数は4、解答数は28で、大問配点も含めてすべて昨年と同様。すべての分野からバランスよく出題された。形式面では、文章選択問題が昨年に比べて4個減少した。また、昨年出題されなかったグラフ選択問題が2個出題された。第1問において、「物質と人間生活」からの出題が昨年と同様にみられた。また、第4問において、構造決定に関する問題が3個みられた。難易は昨年より難化した。
生物I
― 問題文量が大幅に減少し、手間のかかる考察問題も減少。難易は昨年より易化 ―
2009年度に比べて問題文量および読み取りに時間のかかる考察問題が大幅に減少した。一方で、教科書レベルの基本的な知識問題が増加したため、受験生にとっては取り組みやすい内容となり、難易は昨年より易化した。また、今年から過去のセンター試験問題からの再利用が解禁されており、2010年度の生物Iでは、一部過去の問題と同内容の問題が出題された。
地学I
― 例年同様、問題文と図を正確に読み取ることがカギ。難易は昨年より易化 ―
大問数、解答数とも昨年と同じであった。例年通り、地学I全範囲から幅広く出題され、出題形式、問題量にも大きな変化はみられなかった。全体的に、基本知識を問う典型的な問題が多く出題されていた。ただし、2009年度に比べて図・グラフを扱った問題が増加しており、図・グラフを正確に読み取る力が求められた。難易は昨年より易化した。
理科
総合A
― 力学の計算問題がなくなり、第5問では小問集合が出題された ―
大問数や解答数は昨年と同じ。2009年度に比べて、5択の問題が8個減少して、4択の問題が4個増加した。また、6択以上の問題も4個増加した。2009年度からの変化としては、第5問が小問形式で出題されたことと、会話文形式の出題がなかったことが挙げられる。理科総合Aにおける選択学習項目である「酸化・還元」は、2009年度に引き続き出題された。難易は昨年より易化した。
理科
総合B
― 正確な知識を問う問題が増え、例年と同様に科学的思考力も問われた ―
大問数や解答数は昨年と同じ。問題量はほぼ昨年並だが、昨年出題された9択の組合せ選択の問題は出題されなかった。昨年に比べて、正確な知識を問う問題が増加し、特に第2問、第3問では主に生物分野と地学分野の知識が問われた。また、例年と同様に、観察の結果や、与えられた資料を読み取って考察させる科学的思考力が問われたが、例年出題されている実験を題材とした問題は出題されなかった。難易は昨年より易化した。