・大問構成、配点ともに変更なし。
・例年同様、問題量、計算量ともに多かった。
・難易は昨年並。
問題構成は変化がなく第1問と第2問が必答で、第3問〜第6問から2問選択であった。時間のわりに問題量が多く、限られた時間で正確に処理することが求められる傾向は定着してきたといえる。難易は昨年同様、難しかった。 第2問で「微分法・積分法」と「図形と方程式」が分野融合問題として出題されていた。また、第4問「ベクトル」では3年連続空間ベクトルが出題され、この分野への対応力も必要となる。 |
【大問数・解答数】 | 昨年同様、6題出題。第1問、第2問が必答問題で第3問〜第6問から2題選択。第1問、第2問は数学IIとの共通問題。 |
【出題形式】 | 昨年と変更なし。 |
【出題分野】 | 昨年通り、数学IIの分野が60点分、数学Bの分野が40点分の出題。 |
【問題量】 | 昨年同様、問題量・計算量ともに多かった。 |
【難易】 | 昨年並。 |
大問 | 出題分野・大問名 | 配点 | 難易 | 備考(使用素材・テーマなど) |
第1問 |
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第2問 |
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第3問 |
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第4問 |
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第5問 |
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第6問 |
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第1問〔1〕「対数関数」
対数関数のとりうる値の範囲と最大値の問題。 | |
前半のzをs、tで表すところまでは、対数の基礎知識を用いた基本的な問題。 | |
後半の2変数関数の最大値を求めるところは、領域における最大・最小を用いた解き方や式を変形していく解き方などがあるが、どちらの解法にせよ、自分で解法を選択し解き進めていく力が問われた。 | |
問題量・計算量はやや少なめである。対数の計算の確実な定着が求められた。 |
第1問〔2〕「三角関数」
三角関数で表された方程式の解と角の大小関係についての問題。 | |
前半は誘導に乗って、2次方程式に帰着し、三角関数の基礎知識を用いて解き進めていけばよい。 | |
後半の角の大小関係を求めるところは、目新しく難しい。具体的な角がわからないため、図をイメージして、問題文にあるように角の大小関係を考えていくが、何から考えていけばよいかがわかりにくく差がついたと思われる。単に定理・公式の暗記ではなく、三角関数の意味や本質を理解する必要があった。 | |
問題量・計算量は少なく、思考力が問われた問題である。 |
第2問「微分法・積分法、図形と方程式」
微分法・積分法と図形と方程式の融合問題。3次関数の最大・最小や面積を求めていくが、対称点や軌跡から始まるところが目新しい。 | |
誘導に乗れば流れは一本道で、基本的な知識を幅広く問うている。 | |
放物線や直線が複数出てくるため、丁寧に図をかいて、状況を把握することが必要である。 | |
軌跡としての放物線Dの方程式を求める部分、直線HRと放物線Dの交点のx座標を求める部分の計算ができるかで差がついたと思われる。 | |
問題量・計算量は、例年通り多く、最後まで解ききるには時間がかかる。 |
第3問「数列」
(1)は等比数列の初項、公比、和、積を問う基本的な問題。実際に具体的な数を当てはめていくなどして確実に解いておきたい。 | |
(2)は(等比数列)×(等差数列)の和を誘導にのって求める問題。 | |
問われている形が見慣れないため、公式の原理原則を理解しておく必要がある。 | |
数列の和としてはよく扱われる題材であったが、受験生があまり経験したことのない誘導であったので、この誘導をしっかりと追えるかどうかで差がついたと思われる。 |
第4問「ベクトル」
四角錐を素材とした空間ベクトルの総合的な問題。内積、面積、内分の位置ベクトル、一次独立、長さなどいろいろなことを問うている。 | |
空間ベクトルの出題は3年連続である。 | |
(1)はA、B、C、D、Eの座標が設定されているので座標空間におけるベクトルの性質を理解していれば取り組むことが出来た。 | |
(2)では文字a、b、cがあり、さらに扱われる頂点が多いので、ベクトルの始点が変化し問題を把握することが難しい。空間内で着目すべき図形を見つけ、平面で考えていくことがポイントとなる。 | |
問題の後半は平面幾何的に平行四辺形を用いたりすると取り組みやすくなるが、それでも問題量、計算量ともに多かった。 | |
(キ)以降の、選択肢に文字を入れる設問ではどの文字を用いるのか指示がされていない。解答欄の形から推測していけばaが入ることはわかるが、受験生にとっては取り組みにくかっただろう。 |
第5問「統計とコンピュータ」
あるクラスで2回実施した数学と英語のテストの得点に関する問題。 | |
データが多くいくつかの分野に分けて出題された。I班とII班,1回目と2回目,数学と英語など、どの分野の設問かを早くつかむ必要がある。 | |
例年通り、平均値、中央値を求める、相関図を読み解く、データを変更した後の値を求めるなど、言葉の定義や計算方法が定着していれば取り組みやすかったが、計算量は多かった。問題量も多く、設問ごとに頭の切り替えが必要となった。 |
第6問「数値計算とコンピュータ」
整数問題を素材としたプログラムに関する問題。 | |
プログラムに入る文を選んだり、出力の結果を求めたり、問題の途中でプログラムを作り直したりすることは例年と同様である。 | |
プログラムの流れを読み解くことにやや時間がかかるので正確に早く読み取っていく必要がある。用いている公式(言語)などは特に目新しいものはない。 | |
プログラムの後半部分は解とならないdのすべての個数を加えるという難解なプログラム変更を行う。プログラムに相当慣れていないと難しい問題であった。 |
年度 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 |
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例年問題量が多いので、時間を決めて演習を行い、複数の解法を身につけて効率よく解けるようにしておきたい。また、分からない箇所があればその部分にあまり時間をかけないで、分かるところから取りかからなければいけないだろう。 | |
日頃から正確で手際のよい計算力をつけることを意識して、演習を積んでおくことが大切である。また、数値だけでなく、文字の計算も多いので、文字処理力も強化しておきたい。 | |
与えられた条件や前設問をうまく使うことを意識して、上手く誘導に乗る力を磨く必要がある。 | |
普段あまり見慣れない問題の出題も目立ってきており、単に公式・定理を利用する問題ばかりにあたるのではなく、公式・定理の証明など、基本事項の正しい理解を心がけて問題にあたる必要がある。 |