【12】個別試験教科別対策ポイント

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 センター試験が終了しいよいよ個別試験です。ここからは,それぞれの志望校の個別試験に向けた学習に特化して,ラストスパートをかける必要があります。ここでは,2007年度入試の個別試験の出題状況を振り返り,2008年度入試の方向性をまとめました。
〜分析:進研模試編集部〜

 国  語

1. 2007年度入試の国公立大の出題を見ていくと,近年顕著な傾向であるが,設問文に「全体の趣旨を踏まえて」「筆者の考えを踏まえて」などの条件が付いたものが多数ある。このことから入試では,筆者が問題文全体を通して最も言いたいことは何か,その論の中心点は何か,を的確に読み取る力が最も試されていることがわかる。
2. 現代文であれ古典であれ,国公立大の出題はほとんどが記述設問である。つまり入試が意図していることは,問題文を読んで理解したことをどう発信できるかを試すことであると言える。したがって,設問では重箱の隅をつつくような細かな部分読解の出題はあまりなく,現代文であれば論の展開上重要になる意味段落の要旨を,古典であれば全体の主題を,論理の破綻がない自然な日本語で表現できているかどうかが問われている場合が多い。このような力を試す傾向は,2008年度以降も変わらないであろう。
3. 念頭に置いておきたいのは,試験において出題する文章が選択され,傍線部が設けられる過程には出題者の主観が反映されるということである。したがって,解答作成の際,受験生はなぜこの部分に傍線が施されたのか,どのような方向性の解答を想定した設問なのか,をしっかり把握することが重要である。



 数  学

1. 2007年度入試では,東北大,京都大など一部では傾向が大きく変わった大学もあるが,多くの大学では文系,理系ともに易化傾向にあるようだ。その背景として,数学で合否の差をつけるために,各問題のハードルを下げざるを得ない状況がある。2007年度入試の京都大・理系では,甲と乙の2コースに分かれて2006年度入試よりも難化したが,このことも逆の意味で,コースを分けないと学部・学科ごとにきちんと差を見ることができないということであろう。このように受験生の学力をきちんと測ろうとすれば,手がつけられない極端に難しい問題を出題するよりは,標準的な問題に取り組ませることで,数学の学力を見ることになる。したがって,今後も取り組みやすい問題を多く出題する傾向は続くと考える。
2. 前述のように,どこから手をつければよいか分からないような問題よりも,標準的な問題が多い入試では,解答に着手できる「基礎・基本をきちんと理解する力」と,完答できる「ミスなく正しい答えを出せる計算力」,そして減点されないための「自分の考えを論理的に表現する力」が重要であり,こういった学力は今後ますます必要となってくる。また,単問形式の出題ではなく,設問をつけて取り組みやすくしている問題も多く,設問間の関連性をきちんと読みとる力も必要となってくるだろう。
3. 今後もこれまでと同様,文系では数学I,IIを中心に「定理・公式の運用」「計算力」,理系ではそれに加えて数学II,IIIを中心に「論証力」「記述力」を見る問題が中心となると考える。



 英  語

1. 個別試験の読解における文章の語彙レベルは全般的に易化傾向にある。しかし,文章そのものの分量は増加し,長文化傾向に拍車がかかっている。また,素材文の分量の増加に加え,多量の文章から必要な情報をすばやく読み取る力が求められる設問形式が増加した。さらに,東京大(前),岡山大(前),広島大(前・後),横浜市立大(前)等では2007年度入試も日本語による要約問題が出題されたほか,東京大(前),千葉大(前)等で表題選択問題が出題される等,概要を把握する力が求められる設問も引き続き出題されている。一方,国公立大では英文和訳の出題はやや減少してきており,出題される場合も従来の文法や構文が複雑に絡んだものよりも,前後の文脈を踏まえて訳す必要があったり文章の要点を理解するうえでターゲットとなる文を訳させたりするものがより多く出題されている。これらに対応するためには,文章を素早く読んで概要・要点を理解すること(速読力)と文脈に沿って詳細な内容を理解すること(精読力)の両面をバランスよく鍛えておく必要があるだろう。
2. 個別試験における語彙・文法の出題比率はほぼ横ばいであるが,長文読解中で語彙の意味を類推したり文法・語法の正確な運用力を試したりする設問(動詞の変化形や前置詞の用法等)が出題される等,基礎・基本の定着度を見るような設問も散見される。また,和文英訳(英作文)問題においても,基本的な知識を用いて表現させる設問が以前より増えている。読解や英作文の出題を通じて基礎・基本の定着度を測るような設問は今後も出題されるので,習得した知識を活用できるまで,演習を重ねておきたい。
3. 実践的なコミュニケーション力が重視される中で,今後注目されるのは英語の表現力(書く力)である。センター試験にリスニングテストが導入されてから,国公立大の個別試験では表現(英作文)を問う割合が増加してきている。出題形式も様々で,例えば北海道大(前),東京工業大(前)などでは,長文で読み取った内容をもとに自分の考えをまとめる問題,広島大(前)ではグラフから読み取れることを英語で書かせる問題といった,複数の技能を結びつけた出題などもされてきている。自分の考えや意見を正確に表現できるよう,志望大の傾向に沿って,大学入試の過去問などを使って練習をしておくとよいだろう。



 世 界 史

1. 「接触と交流」をテーマとする出題は今後も重視されると予想される。その中で交易ネットワークなど社会経済史の分野を扱った出題は,今後も頻出のテーマとなるだろう。ヒト・モノの移動にともなう交易ネットワークの機能や変遷についての理解を深めておきたい。
2. 「世界史の扉」に見られる「モノから見た歴史」に着目し,テーマ史の学習を進めると既習事項の理解を深めるのに効果的である。一通り学習を終えた後に,例えば,茶・綿布・暦など身近なモノを通して世界史の学習を進めることは,断片的になりがちな世界史の事項のつながりや共通点を導くことになるだろう。
3. 学習が後回しになりがちな東南アジアやアフリカなど周辺地域の歴史を丁寧におさえておくことが重要である。周辺地域を学習する際は,ヨコのつながりを意識し,東アジアや西ヨーロッパとあわせてグローバルに歴史をとらえさせておきたい。
4. 通史的に長いスパンを扱う出題には,今後も注意が必要だろう。従来通り,戦後史まで含めて各時代の特徴を把握させておきたい。
5. 現代から戦後における国際関係は各国の動向をおさえさせておくとともに,時事問題にも対策を立てておきたい。



 日 本 史

1. 基本事項をきちんと理解しておくことに加え,国公立大などでは歴史の構造的な理解や歴史像・時代像をとらえる力が従来と同様に強く求められるだろう。また,図版や史・資料を扱った問題にも注意が必要である。
2. 2007年度入試では通史的に長いスパンで歴史をとらえる問題はあまり見られなかったものの,近年の入試傾向では重視されている観点の一つである。また,戦後史からの出題では,時事的な問題意識を反映したものや,戦後の日本を振り返る視点が反映される可能性もある。
3. 分野横断的な出題は,2007年度入試ではあまり目立たなかったものの,人々の生活に着目して社会史・経済史的な視点から歴史をとらえるものや,政治と文化の関連性についての理解を問うものなどは頻出である。時代ごとに各分野のつながりを理解させることで,背景理解を深めさせたい。
4. 2007年度入試では目立った出題の見られなかった東アジア的観点からの出題は,引き続き注意しておきたい。国際的な動きと日本の歴史がどう関わっていたのかを,近世以前は東アジアの動向を中心に,近代以降は,「世界から見た日本史」「日本から見た世界」という観点に注意していく必要があるだろう。
5. 「身近な地域社会の歴史」から歴史を展望していく観点の出題にも注意しておきたい。特に従来の入試でも重要視された蝦夷・琉球史の出題については注意が必要である。
6. 大論述形式の問題では,部門史的な観点からの理解や歴史の推移・転換点の把握,また,分野横断的な出題による歴史像の把握や意義の説明が求められる傾向は続くであろう。また,近年の国公立大の入試では,基本事項をベースに考察による歴史的な背景や意味合いを表現する力が求められている。
7. 2008年度以降の入試においても,史・資料の読解力や読み取った情報の運用力が重視される傾向は続くものと思われる。2007年度入試においても,所与の素材から読み取った情報を総合的に考察させる問題に一定の比重がおかれている。



 地  理

1. 2007年度入試では「自然環境」「産業」「地誌」を中心とした入試傾向に変化は見られなかったことから,地理の基礎ともいえるこの3分野が今後の入試においてもポイントとなるであろう。
2. 地域別では,日本に関する出題が目立った。観点や扱われる図表なども多岐に渡るが,自然環境や産業,人口などについての地域的な特徴や差異,近年の変化は頻出である。
3. 2007年度入試の出題素材に関しては,略図や分布図の出題が増加した。外国の地形図や,メッシュマップのほか,引用文やレポートなど様々な図表や資料を通した地理情報の分析力・解析力が求められる出題もあった。
4. 要求学力面では,資料の読み取りも含めた解答までのプロセスが重視される傾向が見られる。地理的見方・考え方や,地理的技能を重視する傾向は,主要国公立大を中心に今後も続くものと予測される。なお,地理的技能に関して,2007年度入試ではあまり見られなかった作図・描画の能力も指導要領で重視されているので基本事項は押さえておきたい。



 倫  理

1. 用語知識を求める問題では,近年は教科書レベルの基本事項さえ確実におさえておけば十分に対応できるレベルの出題が目立つ。また主要な思想について内容を説明する論述問題も多く,こうした基礎基本を重視する傾向は今後も続くものと考えられる。
2. 近年は,「あなた自身はどう考えるか」などの問い方が目立ってきている。現代の諸課題に関する倫理的な課題や,主要な思想家の主張について,教科書的な内容把握だけでなく,自らどう捉え,考えるのかという本質的な問いを受験生に突きつける傾向は,今後も続くものと考えられる。



 政治 ・ 経済

1. 今後も,経済分野を中心とする原理・原則への理解が前提となる点は大きく変わらないが,応用的な問題に注意したい。
2. 形式面では,国公立大では,字数の多い論述問題や「小論文」的出題への対策が必要。



 物  理

1. 出題分野・範囲については,年度による変化がほとんどなく,例年,力学と電磁気の両分野からの出題割合が高い。この傾向は,2008年度入試においても変わらない可能性が高く,特に力学は,ほぼすべての大学で出題されるであろう。また,2007年度は計算過程の記述を求める計算問題がやや減少したが,自らの考えを採点官に伝えるための技法を習得していくためにも,しっかりと対策をしておきたい。
2. 2007年度は,一つの大問のなかで基礎事項から応用問題まで幅広く問う問題が多くみられた。また,一見複雑にみえる物理現象を題材として,基本法則の組み合わせによって考察させる問題が多くみられた。このような問題は,必要な基本法則が何かを読み取ることができれば,あとは定性的な考察によって大きく正答に近づくことができる。2008年度もこのように,計算力だけでなく読解力,考察力が求められると予想されるが,基礎事項を確実に理解できていることが必須であることは間違いない。



 化  学

1. 科学的な思考力を要する問題は,典型的な実験を題材にして探究する力を問う場合もあるが,一般に題材があまり見慣れず,発展的な内容が用いられる場合が多い。発展的な内容は,すべての受験生にとってその題材が初見でなければ公平性に欠けるという出題の難しさがあるが,受験生が大学レベルの研究に触れることができる,また,興味・関心をもって問題にあたることができるなど,よい教材になり得るという側面もある。2008年度個別試験においても,科学的な思考力を問う問題は出題されるので,基礎・基本の確実な習得からさらに応用的に考えられるように演習を行っておきたい。
2. 化学IIの選択分野については,2006年度では,「二つの選択分野を特定はしないが,素材として両分野を扱う」としていた大学の中でも,選択分野のいずれか一方のみの履修者にとって不利な出題が一部みられたが,2007年度においては,全体的に改善されたようである。いずれかの分野に依存する題材を扱う場合,受験生の背景知識を十分に考慮して差がつかないようにし,設問文に登場する用語についても同じく注意深く扱う必要があるため,題材が様々でも解答のレベルまで考慮すると問える事柄は限定されがちである。2008年度個別試験に向けては,これまでと同様に,選択分野の共通項目,タンパク質・アミノ酸,糖類に力点をおきたい。



 生  物

1. 2007年度入試では,最新の研究に関する問題の出題割合が減少した。2006年度以前には目新しい題材による出題によって,問題文を読み,題意を掴むといういわば問題を解く準備段階における難易度が高められたものも少なくなかったため,受験生にとっては取り組み易くなった。最新の研究に関する問題は,2008年度もある程度は出題されるであろうが,その出題割合は2007年度と同程度と思われる。
2. 大問の前半部では基本的な内容を問い,続いて後半部で発展的な内容に踏み込んでいく,という形式が基本的な設問形式として定着している。2007年度入試の場合,前半部においては,基本的な用語等を問うシンプルな問題だけでなく,生命現象のしくみや成り立ちについてストレートに説明を求める論述問題を出題する傾向がある。また後半部の設問においては,教科書的な定番の発想の枠を広げた,柔軟な思考力で対応することによってはじめて解答できるよう,工夫が凝らされた考察問題を出題する傾向が多くみられた。いずれも理解の土台となる基礎力が不可欠である。



 地  学

1. 2008年度入試の方向性は2007年度とほとんど変わらず,幅広い分野から出題されることが予想される。問われる内容に関しても,基礎的な知識をそのまま問う問題から,実践的な応用力・考察力が求められる問題まで,幅広く出題されるだろう。国公立大,特に旧帝大では,計算問題と論述問題も多く出題されることが予想される。2007年度入試では,論述問題の文字数は50文字以内が中心であった。
2. 2007年度入試では,実験・観察のデータから考察する問題が増加しており,2008年度もこの傾向が継続すると予想される。受験生にとって初見の図表がほとんどであるので,図表から必要な情報を読み取る力が問われる。


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