データネット2024 2024年度 大学入学共通テスト 自己採点集計

問題講評【数学IIB】

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― 本試験で初めて「式と証明・複素数と方程式」を主題とした問題が出題。昨年よりやや難化 ―

第1問〔2〕は、「式と証明・複素数と方程式」からの出題で、条件から何が導かれるか、論証の正確な理解に関する目新しい設問があった。第2問「微分法・積分法」は、定積分と面積に関する本質的な理解が問われ、後半は抽象的な設問が続くため、取り組みにくかったであろう。昨年よりやや難化。

1.全体概況

【大問数・解答数】 昨年と同様、大問数は5で、第1問・第2問は必答、第3問~第5問の中から2大問選択する形式。第1問は2中問構成であった。
【出題形式】 選択肢から選ぶ問題の解答数は、昨年が27~32個であったのに対し、今年は25~28個であった。第5問は対話形式の問題が出題された。また、第1問で前設問が正解の場合のみ点が与えられる問題が、初めて出題された。
【出題分野】 特定の分野に偏ることなく幅広く出題された。本試験で初めて「式と証明・複素数と方程式」を主題とした出題があった。「三角関数」からの出題はなかった。
【問題量】 ページ数は21~23ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より1ページ増加した。
【難易】 昨年よりやや難化。

2.大問別分析

第1問「指数関数・対数関数」、「図形と方程式」、「式と証明・複素数と方程式」 (30点・やや難)  〔1〕、〔2〕ともに数学IIと共通 必答

〔1〕は、対数に関する問題。(1)は、底や真数に文字を含む対数関数のグラフの問題。kの値に対して、グラフの位置関係を判断することが必要であった。(2)は、対数を含む方程式・不等式の表す図形や領域について考察する問題。〔2〕は、3次以上の多項式を2次式で割ったときの余りが定数になる条件を考察する問題。(2)では、与えられた条件と同値な条件を導出する過程について考察する。(3)では、(2)の考察をもとに、具体的に係数の値や余りを求める。

第2問「微分法・積分法」、「図形と方程式」 (30点・やや難)  数学IIと共通 必答

2次関数y=f(x)と積分で表された関数y=S(x)のグラフの関係を考察する問題。(1)は、m=2のときのS(x)の極値を求める。(2)は、y=f(x)のグラフをもとにした面積S1とS2を考え、y=S(x)のグラフの概形を選択肢から選ぶ。(3)は、2次関数y=f(x)のグラフの軸に関する対称性を利用して、誘導に従って、y=S(x)上の指定された2点を結ぶ線分の中点を考察する。具体的な計算ではなく、文字を用いた数式などの抽象的な考察が続くため、取り組みにくかったであろう。

第3問「確率分布と統計的な推測」 (20点・標準)  選択

晴れか晴れ以外かで定義される確率変数Xについて、二項分布や正規分布を用いて考察する問題。(1)は、300週の日曜日から母平均を推定する問題。昨年に引き続き、母標準偏差の代わりに標本の標準偏差を用いて信頼区間を求める出題があった。(2)は、ちょうど3週続けて日曜日が晴れになる回数の期待値を求める確率の問題。解答数は昨年に比べて減少した。

第4問「数列」 (20点・標準)  選択

3つの数列の漸化式に関する問題。(1)は等差数列、(2)は二項間漸化式から一般項を求める基本的な問題。(3)(i)、(ii)は、具体的な値から数列の項を計算する問題で、条件式に順に当てはめていくとよい。(iii)は、数学的帰納法での証明の仕方を問う問題。(iv)は、計算は不要だが、(i)、(ii)、(iii)の結果を参考に、数列の存在を考察する点が目新しい問題であった。

第5問「ベクトル」 (20点・標準)  選択

座標空間において点が直線上を動くとき、線分の長さが最小となる条件を考察する問題。(1)は、始点と終点の座標からベクトルの成分を求め、2直線の方向ベクトルの内積を求める問題。(2)は、原点Oと直線上の点Pとの距離が最小となる条件を、二人の対話から2通りの方法で考察する問題。誘導に従い、計算ミスに注意して解き進めればよい。(3)は、線分PQの長さが最小となるときの2点P、Qの座標を求める問題。2変数を用いて考察するが、(2)で提示された2通りの考え方のいずれかを利用して解き進めればよい。

3.過去5ヵ年の平均点(大学入試センター公表値)

年度 2023 2022 2021 2020 2019
平均点 61.48 43.06 59.93 49.03 53.21

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